イブリツモマブチウキセタン(商品名:ゼヴァリン)の作用機序・適応・副作用・使用上の注意

目次

概要・作用機序

難治性の悪性リンパ腫(低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫)の治療薬として、2008年1月に承認された分子標的薬の一種である。イブリツモマブチウキセタンは、CD20と呼ばれる標識タンパク質を持つガン(B細胞リンパ腫)細胞に対して特異的に作用し、ガン細胞の増殖を妨げたり、死滅させる働きをする。また、CD20を認識する以外にも、イブリツモマブチウキセタンに結合したイットリウム90という放射性同位元素が放出するβ線という放射線が、ガン細胞を直接的に攻撃し死滅させるという役割も果たしている。

日本で行なわれた治験では、リツキサンやCHOP療法(エンドキサン、アドリアシン、オンコビン、プレドニゾロンの4剤併用療法)などの抗がん剤治療を受けて再発した低悪性度B細胞リンパ腫の患者さんと、これらの治療で改善がみられなかった難治性の患者さんが対象となっており、これらの被験者は67.5%の人が完全寛解になるという非常に優れた結果が得られている。

適応

POINTイブリツモマブチウキセタンの適応 ・CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫
・マントル細胞リンパ腫

イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)の適応はCD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫マントル細胞リンパ腫となっている。

副作用

POINTイブリツモマブチウキセタンの適応 ・血球、血小板の減少

投与後しばらくしてから白血球や血小板の減少が確認される場合がある。一般的に抗がん剤の副作用として知られている吐き気・嘔吐、脱毛、手足の麻痺などが見られることはあまりない

使用上の注意点

先述の通り、イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)はβ線を放出するため、これを投与しても問題ないかどうかをよく画像診断に使われるγ(ガンマ)線という種類の放射線を出す薬を用いて、イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)が蓄積する可能性の高い部位を予め確認する必要がある。この時、当然イブリツモマブチウキセタン(ゼヴァリン)がリンパ節に蓄積しガン化したリンパ細胞だけを攻撃するのが理想的であるが、骨髄や正常な臓器が放射線で照射された場合は新たなガンを引き起こす可能性があるため、投与中止の判断がなされることが多い。

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