エルロチニブ(商品名:タルセバ)の作用機序・適応・副作用・使用上の注意

目次

概要・作用機序

ガン細胞の分裂や増殖を促進する因子は、ガン細胞の表面にある上皮成長因子受容体(EGFR)と結合することによって、効果を発揮する。エルロチニブ(商品名:タルセバ)は上皮成長因子受容体(EGFR)を構成するチロシンキナーゼを選択的に阻害することでシグナル伝達を抑制し、ガン細胞の増殖を抑える抗がん剤である。

エルロチニブ(タルセバ)の適応

POINTエルロチニブ(タルセバ)の適応 ・再発かつ進行性で、切除不能ながん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺ガン

エルロチニブ(タルセバ)の適応は再発かつ進行性で、切除不能ながん化学療法施行後に増悪した非小細胞肺がんである。初発や進行性でないガンや化学療法後に特に増悪していないものには効果が認められていないので注意が必要である。

エルロチニブ(タルセバ)の副作用

POINTエルロチニブ(タルセバ)の副作用 ・間質性肺炎
・肝機能障害(肝炎・肝不全など)
・下痢
・発疹
・頭痛
・乾燥(眼や口など)
・口内炎
・全身倦怠感

エルロチニブ(タルセバ)の最も有名な副作用は間質性肺炎である。従って、院外調剤を受ける外来の患者さんに対しては、処方箋を発行した医療機関が、エルロチニブ(タルセバ)の重篤な副作用について注意事項を記載した「タルセバ錠治療確認シート」を手渡し、保険薬局は同シートを所持している患者に調剤するという対応がなされている。

プラスの知識 タルセバ錠治療確認シートを渡すという仕組みは、以前、ゲフィチニブ(商品名:イレッサ)と呼ばれる分子標的治療薬で間質性肺炎の副作用による薬害が発生したことを教訓として作られたものである。(イレッサの薬害について詳しくは薬害イレッサ弁護団HP「薬害イレッサ事件とは」を参照)

また、その他にもエルロチニブ(タルセバ)の副作用として肝機能障害(エルロチニブは主に肝臓で代謝されるので、肝炎、肝不全などの肝機能障害が起こりやすい)、発疹、頭痛、目や口の乾燥、口内炎、全身倦怠感などが有名である。

エルロチニブ(タルセバ)の使用上の注意

先述の通り副作用として間質性肺疾患が確認されているので、間質性肺炎特有の症状(息切れ・呼吸困難・発熱)の確認や胸部X線検査による画像診断などを十分に行い、間質性肺炎が起こっていないかどうか常時チェックすることが大切である。

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