系と外界
エネルギーや物質が出入りする世界の一部を系、世界の中で系以外の部分を外界、系と外界の境目を境界という。
系は大きく3つに分類することができる。
外界とエネルギーも物質も授受する系
外界とエネルギーのみ授受する系
外界とエネルギーも物質も授受しない系
開いた系は外界とエネルギーも物質も授受する系、閉じた系はエネルギーのみ授受する系、孤立系は外界となにも授受しない系である。
内部エネルギーと系
水の入っている容器があるとしよう。
この容器を加熱すると、水分子の運動が激しくなり温度が上昇して最終的に一部が水蒸気になる。これは系に存在している水分子の運動エネルギーが大きくなったということができる。
一方、この容器が高いところに置かれた場合、系(容器)全体としてのポテンシャルエネルギー(≒位置エネルギー)は大きくなったと言えるが、系に含まれる水分子の持つエネルギーとは無関係である。
このように、系のエネルギーには系全体に関するものと系の中に存在する分子に関するものの二種類存在しており、これらは明確に区別する必要がある。
エネルギー①系全体のエネルギー
エネルギー②系に存在する分子のエネルギー
ここで内部エネルギーというものを考えていく。
内部エネルギーとは、その名の通り”系の内部に含まれる分子“に関するエネルギーのことである。
系の全エネルギーから系全体のエネルギー(運動エネルギー+ポテンシャルエネルギー)を差し引けば内部に存在する分子だけのエネルギーを求めることができる。この時の分子のエネルギーとは、「分子のもつ運動エネルギーとポテンシャルエネルギーの和」のことを指している。
これ以降は、エネルギー=内部エネルギーという定義のもと説明する。
エネルギー保存の法則
(形態が変わることはあっても)世界に存在するエネルギーの総量は一定であり、なにもしていないのにエネルギーが出てきたり消えたりはしない。これがエネルギー保存の法則である。
ある系でエネルギーの出入りがあったときに、変化前の内部エネルギーをU(前)、変化後の内部エネルギーをU(後)と表すと、その変化量は
となる。
この時外界から加えられた熱をq、仕事をwおくとΔUは次のように表現することもできる。
なお、仕事wは圧力Pと体積Vを用いて次のように表すことができる。
これを①式に代入すると…
となる。