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混成軌道とは
電子軌道とは、電子の動く領域のことを指す。混成軌道は、複数の電子軌道を「混ぜて」作られた軌道のことであり、実在はしないが有機化学の反応を考える上で都合が良い考え方であるため頻繁に用いられる。
sp混成軌道
sp混成軌道とは、1つのs軌道と1つのp軌道が混ざることにより作られた軌道である。
この例だと、まずs軌道に存在する2つの電子のうち1つがp軌道へと昇位して電子が“平均化”され、その後s軌道とp軌道が1つずつ混ざることで2つのsp混成軌道が生成している。この時、使われなかった2つのp軌道はそのままp軌道として存在する。
sp2混成軌道
sp2混成軌道とは、1つのs軌道と2つのp軌道が混ざることにより作られた軌道である。
この例だと、まずs軌道に存在する2つの電子のうち1つがp軌道へと昇位して電子が“平均化”され、その後s軌道1つとp軌道2つが混ざることで3つのsp2混成軌道が生成している。この時、使われなかった1つのp軌道はそのままp軌道として存在する。
sp3混成軌道
sp3混成軌道とは、1つのs軌道と3つのp軌道が混ざることにより作られた軌道である。
この例だと、まずs軌道に存在する2つの電子のうち1つがp軌道へと昇位して電子が“平均化”され、その後s軌道1つとp軌道3つが混ざることで4つのsp3混成軌道が生成している。
混成軌道と手の数
上で述べたように、混成軌道にはsp3混成軌道、sp2混成軌道、sp混成軌道が存在する。これらを見分ける際に役立つのが「“手”の本数を確認する」という方法である。
POINT手の本数
・sp混成軌道→2本
・sp2混成軌道→3本
・sp3混成軌道→4本
・sp2混成軌道→3本
・sp3混成軌道→4本
sp混成軌道には2本、sp2混成軌道には3本、sp3混成軌道には4本の手(結合)が存在する。
ちなみに、非共有電子対も一本の手としてカウントすることに注意しておく必要がある。