第101回薬剤師国家試験 問21〜問30

第101回薬剤師国家試験 問21〜問30

問21 疾病の一次予防に該当するのはどれか。1つ選べ。(後に、公式に解答が2つあることが認められた)

1 従業員を対象とした特定健康診査・特定保健指導
2 喫煙者を対象とした禁煙教室
3 糖尿病患者を対象とした栄養指導
4 うつ病患者を対象とした社会復帰支援
5 新生児を対象としたタンデムマススクリーニング

問21:解答・解説
解答:1・2
POINT
・一次予防
 予防
・二次予防
 早期発見、早期処置
・三次予防
 社会復帰に向けてのリハビリテーション・再発予防

選択肢1,2は一次予防、選択肢3,4は二次及び三次予防、選択肢5は二次予防に該当する。
従って、答えは1と2である。

問22 ヒトにおける抱合反応に利用されないのはどれか。1つ選べ。

1 S-アデノシルメチオニン
2 アセチルCoA
3 メルカプツール酸
4 活性硫酸
5 タウリン

問22:解答・解説
解答:3

S-アデノシルメチオニンはメチル抱合で、アセチルCoAはアセチル抱合で、活性硫酸(PAPs)は硫酸抱合で、タウリンはタウリン抱合で用いられる。

メルカプツール酸は抱合反応において基質(異物)がグルタチオン抱合を受けて生成したグルタチオン抱合体が代謝を受けることで生成する最終代謝産物である。従って、抱合反応の話で出てくることは確かだが、抱合反応に利用されているわけではないのでこれが正解となる。

問23 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)において、蓄積性の判定に用いられる試験はどれか。1つ選べ。

1 活性汚泥を用いた分解度試験
2 コイを用いた濃縮度試験
3 ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異原性試験
4 マウスを用いた反復投与毒性試験
5 ミジンコを用いた急性遊走阻害試験

問23:解答・解説
解答:2

蓄積性の判定には濃縮度試験(化学物質濃度を一定にした流水中で28日以上コイを飼育して魚体内の化学物質濃度を測定する試験)を用いる。

選択肢1について
活性汚泥を用いた分解度試験は、泥(中に微生物を含む)を用いて化学物質の分解能を判定する試験である。従って、蓄積性の判定に用いられる試験ではないので誤りである。

選択肢3について
ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異原性試験は、ある化学物質が突然変異を引き起こす力(=変異原性)を持っているかを細菌などを用いて調べる試験である。従って、蓄積性の判定に用いられる試験ではないので誤りである。

選択肢4について
マウスを用いた反復投与毒性試験は、薬物を複数回動物に投与した時の毒性を調べる試験である。従って、蓄積性の判定に用いられる試験ではないので誤りである。

選択肢5について
ミジンコを用いた急性遊走阻害試験とは、ミジンコの遊泳に対する薬物の影響(毒性)をみる試験である。従って、蓄積性の判定に用いられる試験ではないので誤りである。

問24 自然放射線被爆のもととなる放射性核種はどれか。1つ選べ。

40K
90Sr
131I
137Cs
239Pu

問24:解答・解説
解答:1
POINT有名な放射性核種40K
3H
14C
87Rb

40K以外の選択肢は実在するものの“自然”放射線被爆の原因とはならない。

問25 閉鎖性水域における富栄養化の制御因子はどれか。1つ選べ。

1 カリウム
2 亜鉛
3 鉄
4 硫黄
5 リン

問25:解答・解説
解答:5

富栄養化とは、窒素やリンを含む排水が湖沼などに流入し、プランクトンの異常発生(=水質汚染)などが起こることである。

問26 Ca2+に対して高い透過性を示すイオンチャネル内蔵型受容体はどれか。1つ選べ。

1 セロトニン5-HT2受容体
2 グルタミン酸NMDA受容体
3 アセチルコリンNm受容体
4 GABAA受容体
5 グリシン受容体(ストリキニーネ感受性)

問26:解答・解説
解答:2

選択肢1について
セロトニン受容体の中でイオンチャネル内蔵型は5-HT3のみである。
従って、選択肢1は誤りである。

選択肢2について
NMDA受容体型はナトリウムイオン・カリウムイオン・カルシウムイオンなどを透過させるイオンチャネル内蔵型受容体である。
従ってこれが正解となる。

選択肢3について
アセチルコリンNm受容体はイオンチャネル内蔵型受容体であり、ナトリウムイオンを透過させる。
しかし、カルシウムイオンの透過は行なわないので選択肢3は誤りである。

選択肢4について
GABAA受容体は、イオンチャネル内蔵型受容体であり、塩化物イオンを透過させる。
しかし、カルシウムイオンの透過は行なわないので選択肢4は誤りである。

選択肢5について
グリシン受容体は、イオンチャネル内蔵型受容体であり、塩化物イオンを透過させる。
しかし、カルシウムイオンの透過は行なわないので選択肢5は誤りである。

問27 ある受容体への競合的遮断薬 A,B,C のpA2値がそれぞれ9.3,7.9,8.2である場合拮抗作用の強い順番として正しいのはどれか。1つ選べ。

1 A > B > C
2 A > C > B
3 B > A > C
4 B > C > A
5 C > A > B

問27:解答・解説
解答:2

pA2値とは「競合的拮抗薬の効力」を表す値である。
pA2値と競合的拮抗薬のモル濃度([B2])との関係は次のようになっている。

pA2 = -log[B2]

従って、pA2が大きい程(競合的拮抗作用を示すために必要な[B2]は小さいということになるので)より拮抗作用が強いと考えることができ、解答は2となる。

問28 リトドリンの子宮収縮抑制作用機序はどれか。1つ選べ。

1 アドレナリンα1受容体遮断
2 アドレナリンα2受容体刺激
3 アドレナリンβ1受容体遮断
4 アドレナリンβ2受容体刺激
5 アドレナリンβ3受容体遮断

問28:解答・解説
解答:4

リトドリンは、アドレナリンβ2受容体を刺激することによって効果を示す。
従って、解答は4である。

問29 脳梗塞の際に産生されるフリーラジカルを消去し、脳保護作用を示す薬物はどれか。1つ選べ。

1 ファスジル
2 オザグレル
3 アルガトロバン
4 ウロキナーゼ
5 エダラボン

問29:解答・解説
解答:5

脳梗塞時におけるフリーラジカル消去による脳保護作用を示すのはエダラボンである。

選択肢1について
ファスジルはRhoキナーゼ阻害薬であり、平滑筋収縮の一過程である“ミオシン軽鎖のリン酸化”を阻害することで血管を拡張し、くも膜下出血後の脳虚血症状の改善に用いられることがある。

選択肢2について
オザグレルはトロンボキサン合成酵素阻害薬で、主にぜんそく治療薬として用いられる。(脳虚血症状の改善に使われることも)

選択肢3について
アルガトロバンはアンチトロンビン非依存性抗トロンビン薬で、脳血栓症の急性期に用いられる。

選択肢4について
ウロキナーゼはプラスミノーゲンを活性化することで効果を示す抗凝固薬であり、脳梗塞の急性初期時における血栓溶解療法に用いられる。

問30 ドパミンD2受容体の部分刺激薬で統合失調症の陽性症状と陰性症状を改善するのはどれか。1つ選べ。

1 ブロモクリプチン
2 スピペロン
3 ハロペリドール
4 スルピリド
5 アリピプラゾール

問30:解答・解説
解答:5

選択肢1に関して
ブロモクリプチンは麦角アルカロイドの一種であり、ドパミン受容体刺激薬である。
パーキンソン病の治療薬として使用され、統合失調症の薬ではない。

選択肢2に関して
スピペロンはドパミンD2受容体遮断薬である。
統合失調症の治療などに用いられることがあるが、部分刺激薬ではない。

選択肢3に関して
ハロペリドールはドパミンD2受容体遮断薬である。
統合失調症の治療などに用いられることがあるが、部分刺激薬ではない。

選択肢4に関して
スルピリドは、ドパミンD2受容体遮断薬である。
統合失調症の治療などに用いられることがあるが、部分刺激薬ではない。